浦添市の港川をはじめ、沖縄には「外人住宅」と呼ばれる平屋が今も残っています。カフェや雑貨店として使われている姿を見たことがある方も多いと思います。住まいとして、あるいは店舗として実際に使っていると、夏場に「エアコンをつけているのに、いまひとつ冷えない」と感じる場面が出てきます。

この感覚は、気のせいではありません。外人住宅は建物の作りそのものが本土の一般的な住宅と違うため、冷房の効き方も違ってきます。この記事では、確認の取れている建物の特徴から冷えにくさの理由を整理し、エアコン側で見直せることを3つにまとめました。

外人住宅とは、どういう建物か

外人住宅は、戦後に在日米軍の軍人・軍属とその家族が基地の外で暮らすため、沖縄の民間業者が建てた賃貸住宅です。1950年代後半から1970年代前半にかけて建設が続き、1970年代には沖縄本島に総戸数でおよそ12,000戸あったとされています。

浦添市港川2丁目周辺は、その集積地のひとつです。1960年代にキャンプ・キンザーの米軍関係者向けとして、もとは小高い丘だった場所を切り崩して造成されました。建設当初は70棟近く、現在も60棟ほどが残り、そのうち6割以上が店舗やオフィスに転用されています。「港川ステイツサイドタウン」の名で呼ばれているのがこの一帯です。

建物としての特徴は、次のようにまとめられます。

  • 沖縄の外人住宅は基本的に平屋。間取りは2LDK〜3LDKが主流
  • 柱ではなく鉄筋コンクリートの壁で躯体を支える作り。台風の多い土地で長く使えるよう、厚みのある壁と頑丈な基礎が用いられたとされる
  • 屋根は勾配のほとんどないフラットルーフ(陸屋根)
  • 窓が大きく取られている
  • 床はフローリングやカーペットのほか、Pタイルやコンクリートのものもある
  • シャッター付きのガレージや芝生の庭を備えるものが多い

冷えにくさは、建物の作りから説明がつきます

断熱が薄く、換気が現代の作りではない

外人住宅を扱う不動産事業者の解説では、断熱材が十分に入っていない古い物件も多く、気密性が高い一方で換気の仕組みが現代的ではないため、湿気がこもりやすいと説明されています。冷房の観点で言うと、これは二重の負担になります。外の熱が壁や屋根から入ってきやすく、そのうえ室内にこもった湿気を除くためにエアコンが余計に働くことになるからです。

設定温度を下げているのに体感が変わらない、という訴えの多くは、温度ではなく湿度が下がっていないことに起因します。

フラットな屋根が、日射をまともに受ける

勾配のある屋根と違い、陸屋根は真上からの日射をほぼそのまま受けます。外人住宅をリノベーションした事例では、勾配の小さい屋根と地面からの段差が小さい床スラブは高温多湿の沖縄に適しているとは言えないと指摘され、対策として屋根防水塗料に遮熱剤を使い、天井付近の熱気を逃がす排熱換気を組み合わせた例が報告されています。

つまり、冷えにくさの一部はエアコンの性能ではなく建物側にあります。エアコンを新しくしても解決しきらない場合、ここが原因になっていることがあります。

大きな窓と、ひと続きの広い部屋

大きく取られた窓は外人住宅の魅力ですが、そのぶん日射も熱も入ります。加えて開放的な間取りは、冷気が一か所にとどまりにくい作りでもあります。一般に、天井が高い部屋や大きな窓のある部屋は冷気が拡散して温度が下がりにくいと言われます。

エアコン側で見直せる3つのこと

1. 内部の目詰まりを疑う

湿気がこもりやすい建物では、エアコン内部にカビやほこりが定着しやすくなります。フィルターだけでなく、その奥のアルミフィン(熱交換器)と送風ファンが詰まると、風量が落ち、冷えも除湿も同時に鈍ります。フィルターを洗っても改善しない場合は、内部側が原因のことが多いです。

沖縄では、クリーニングの目安を1年〜1年半に1回と考えておくと無理がありません。本土の一般的な目安より短いのは、気温と湿度の高い期間が長く、冷房の稼働時間そのものが長いためです。

2. 室外機の置かれ方を見る

外人住宅は庭やガレージを備えるものが多く、室外機が塀ぎわや物置の陰に置かれていることがあります。吹き出した熱風が戻って再び吸い込まれる状態になると、能力は素直に落ちます。前面に30cm以上、背面にも空間を確保できているかを見てください。直射日光が当たり続ける置き方も不利です。

海に近い立地では、室外機の熱交換部が塩分で傷みやすくなります。真水で流せる場所にあるなら、定期的に洗い流しておくと寿命が違ってきます。

3. 容量と位置が部屋に合っているかを確かめる

ひと続きの広い空間に、部屋の広さに対して小さい機種が1台だけ付いている、という組み合わせは珍しくありません。この場合、機械はずっと全力で運転し続けることになり、電気代が上がるわりに体感は改善しません。間取りを変えていたり、店舗として使い方を変えていたりする場合はとくに、いま入っている機種が今の使い方に合っているかを一度確かめる価値があります。

店舗として使っている場合

港川のように6割以上が店舗・オフィスに転用されている地域では、営業時間の合間に作業を収める必要が出てきます。飲食店の場合は油分がフィルターの奥まで回り込むため、住宅より汚れの進みが早くなります。定休日や開店前の時間に合わせて日程を組むことが多いので、依頼のときに営業時間を先に伝えておくと話が早く進みます。

この記事で断定していないこと

調べたうえで、確かな出典が見つからなかったことがあります。外人住宅の天井高の具体的な数値と、建設当時にどの方式の冷房が入っていたかです。「開放的」という定性的な記述は多く見られますが、数値で示した資料は確認できませんでした。分かっていないことは、分かっていないものとして書いています。

ご相談ください

ウチナーハウスは、浦添市西原を拠点に、沖縄県内のハウスクリーニングのご依頼をお受けし、内容に応じた有資格の施工者へおつなぎしています。外人住宅のように作りが特殊な建物は、現地を見てからでないと判断できない部分があります。お住まいでも店舗でも、まずは状況をお聞かせください。

ウチナーハウス
沖縄県浦添市西原1-11-15 広栄荘
080-7841-8367

参考にした情報

  • うらそえナビ「港川外人住宅街」(港川の造成経緯・棟数・店舗転用の割合)
  • OKITIVE(港川ステイツサイドタウンの所在地と店舗数)
  • TRA株式会社「外人住宅」(構造・断熱・換気・間取り)
  • かふうWeb(建設時期と背景、間取りと面積)
  • リノベーション協議会 事例(陸屋根と床スラブへの遮熱・排熱換気の対策事例)